一人親方(法人の代表者を除く)の社会保険加入
1 一人親方の取り扱い
労働者を使用せずに単独で仕事を請け負うことを常態とする個人事業主や一人親方(法人の代表者を除く)と呼ばれる人は社会保険被保険者とはならず、また、法定福利費の内訳明細(別枠記入)の対象からも除外されます。
このため、これらの者は国民年金や国民健康保険(建設国保等を含む)に単独で加入しなければならない。その場合の一人親方の働き方を労働者とみるか請負人とみるかについては高度の判断が必要です。
一人親方を労働者とみるか請負人とみるかは、具体的な基準が示されていないので、働き方の実態に照らして判断する必要がありますが、種々の法律等に当てはめてみた場合、つぎの(1)~(6)に掲げる要件のすべてに該当する者を個人事業主(請負人)とみなすべきと考えます。
(1)請負代金を自分の計算で見積もって請負契約を締結している。
(2)報酬は事業所得として税務署に自己申告している。
(3)一人親方の労災保険に「特別加入」している。
(4)請負人として反復継続して事業を行っていることが客観的に確認できる。
(5)個人事業主として事業拠点及び屋号を持っている。
(6)建設業の許可(500万以上の工事を請け負う場合)を受けている。
2 法人の代表者・役員の取り扱い
法人(会社)の代表者(一人親方を含む)、役員、監査役であって法人から労務の対象として報酬を受けている常勤の役員は社会保険の加入が義務となる。
3 国民健康保険組合(建設国保を含む)に加入している者の取り扱い
事業者が建設業に係わる国民健康保険組合(建設国保を含む)に加入している場合もありますが、従前から国民健康保険組合に加入している個人事業主が法人化した際、あるいは、常時使用する従業員が5人以上に増加した際に、必要な手続きである「健康保険被保険者適用除外申請」を年金事務所に行って加入している者であれば健康保険は適法に加入している。
年金制度は厚生年金に加入することになる。
4 「建設」作業員に該当しない者の取り扱い
社会保険の未加入対策が適用されるのは「建設業」を営む者です。
したがって、建設現場で行われる仕事であっても、つぎに掲げる者は建設業者または建設作業員に該当しないことになる。
(1)警備の事業 (2)清掃員 (3)場内整備員 (4)残土運搬運転手 (5)後片付け (6)草むしり (7)散水 (8)軽易な小運搬 (9)仮設物、小物の設置または撤去 (10)品質管理のための試験等の手伝い (11)その他建設作業員に該当しない者
しかし、これらの者でっても、建設業法第4条に掲げる「付帯工事(主たる建設工事を施工するために生じた他の従たる工事)」として建設工事の請負契約の中に組み込まれている場合は、建設工事の一部と判断されることがある。
参考
建設業雇用管理改善の課題