ストレート屋根上での作業、どんな安全対策が必要か

安衛則第524条により、ストレート屋根の踏み抜き防止対策として、幅が30㎝以上の歩み板を設置しなければなりません。また、防網を張ったり、命綱を労働者に使用させる等の措置により墜落防止対策を講じなければなりません。

悪天候後に行う低層足場点検のポイントは

足場先行工法ガイドライン(平18・2・10 基発第0210001号)によると、
①足場部材の損傷、取り付けの状態
②足場部材の緊結の状態
③手すりの有無
④胸部の沈下
⑤控え等の補強材の取付状態
に異常がないか、具体的な点検をする必要があります。

架空電線付近でのクレーンを使用する場合の安全な離隔距離の目安は

安衛則第349条では「事業者は、架空電線又は電気機械器具の充電電路に近接する場所で、工作物の建設、解体、点検、修理、塗装等の作業若しくはこれに付帯する作業又はくい打機、くい抜機、移動式クレーン等を使用する作業を行い場合等において、当該作業に従事する労働者が作業中若しくは通行の際に、当該充電電路に身体等が接触し、又は接近することにより感電の危険が生ずる恐れのあるときは、次の各号のいずれかに該当する措置を講じなければならない」とされており、具体的には、
①当該充電電路を移設する
②感電の危険を防止するための囲いを設ける
③当該充電電路に絶縁用防護具を装置する
④(①~③の措置が困難なとき)監視人を置き、作業を監視させる
と言った項目を定めています。

また、「架空電線との離隔距離」について、通達(昭50・12・17 基発第759号)で、「移動式クレーン等の機体、ワイヤーロープ等と送配電線類の充電部分との離隔距離について」以下のように指導することとされています。
①特別高圧・・・2m(ただし、6万ボルト以上は1万ボルト又はその端数を増すごとに20cm増し)
②高圧・・・・・1.2m
③低圧・・・・・1m
作業を行う場合、この離隔距離を目安にし、適切な距離を保っておく必要があります。

深さ2m以上の溝の溝上部での作業の安全対策は

高所作業対策について安衛則第518条では、「高さが2m以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く)で作業を行う場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある時は、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない」としています。また、安衛則第519条では、「高さ2メートル以上の作業床の端、開口部等で労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆い等を設けなければならない」と定められています。

以上から、必ずしも「地上から」高さが2m以上の場所での作業を特定していないことがわかります。ともかく、直近の下方部分からの高さが2m以上の「箇所」「作業床の端」とか「開口部」などでの作業であることが問題なのです。

地震発生後の足場の点検項目は

安衛則第567条により、強風、大雨、大雪等の悪天候もしくは中震以上の地震後において足場における作業を行うときは、作業開始前に点検し、異常を認めたときは、直ちに補修しなければなりません。点検事項として、
①床材の損傷、取り付け及び掛渡しの状態
②建地、布、腕木等の緊結部、接続部及び取付け部のゆるみの状態
③手すり等の取り外し及び脱落の有無
④緊結材及び緊結金具の損傷及び腐食の状態
⑤脚部の沈下及び滑動の状態
などがあります。

また、『中震とは、震度階級4以上の地震』『強風とは、10分間の平均風速が毎秒10メートル以上の風』『大雨とは、1回の降雨量が50ミリメートル以上の降雨』『大雪とは、1回の降雪量が25センチメートル以上の降雪』

法はあくまでも最低基準を示しているので安全のためには、地震や大雨などが基準に満たない場合でも点検を実施する事が望ましい。

安全知識豊富な作業員でも被災しないような対策は

災害防止のポイントを機械・設備面から考えると、
設備投資によって、ほとんど自動化した機械・設備を導入するとか、鉄柵や堅固な囲いを設けるなどの、ハード的措置として中長期的には意識しておく事柄です。

一方、現実的な対策として、作業員の作業の質を高めることや安全に対する意識を向上させることなどがあります。要するに、「安全教育」や「意識啓発」などの、ソフト面の充実を図る。

また、災害防止対策は、現場に用意されており、実作業を通して、どのような場所、行為、時間帯などに危険が潜むかを知り、それをどのように避けるかです。
ひとつの教育方法として「災害事例に学ぶ」方法があります。あらゆる災害には、数種類の発生パターンがあります。それらの事例を暗記するくらいにする。そうすれば現場のなかで危険性や対策がイメージできるようになります。

下水道工事で掘削作業、溝内の土砂崩壊防止の措置は

安衛則第369条により、まず地質や地層など、掘削箇所の状態を調べることが先決で、その結果に応じて適正な材料を使って土止め措置を講じる。

そして、実際の組立に際しては『安全』を重視した組立図を作ってそれに基づいた組み立て作業を行うこと必要になる。多くの土砂崩壊災害が、土止め措置がない状態の溝内でで被災しています。

そこで『土止め先行工法』があります。これは作業者が溝内に入る前に、土止め支保工を設置する工法で、下水道工事などの、比較的、規模が小さい現場で採用される工法です。代表的なものとして、以下2例をあげます。
『建込方式軽量鋼矢板工法』
一定の深さまで掘削機械などのより溝掘削を行い、軽鋼矢板を建て込んだ後、所定の深さまで押し込み、地上から専用の治具を使用して最上段の腹起こし及び切りばりを設置して土止め支保工を組み立てる工法。

『打込方式軽量鋼矢板工法』
砂質土や湧水などがある軟弱な地盤の掘削に使用されることが多い工法。溝の幅に合わせてあらかじめ軽量鋼矢板を杭打ち機などで打ち込んだ後、最上段の切り張りを設置する深さまで掘削を行い、地上から専門の治具を使用して腹起こし及び切りばりを設置して土止め支保工を組み立てる方式。

保護帽の使用期限はあるのか

保護帽の使用期限について、安衛法では特に期限を明示したものはありません。ただ、安衛則のなかに『保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと』これに該当する条文は、すべて以下の作業主任者の職務になります。
・ずい道等の掘削等作業主任者
・ずい道等の覆工作業主任者
・建築物等の鉄筋の組立て等作業主任者
・鋼橋架設等作業主任者
・木造建築物の組立て等作業主任者
・コンクリート造の工作物の解体等作業主任者
・コンクリート橋架設等作業主任者
・足場組立て等作業主任者

そして『保護帽の機能の点検』については,通達で『緩衝網の調節の適否、帽体の損傷の有無、あご紐の有無等についての点検をいうものであること』(昭34・2・18 基発第101号)とありますので、これらの項目に該当するか否か、作業主任者は的確に判断しなければなりません。

なお、日本安全帽工業会では、ABS製、ポリカーボネート製帽体は購入後3年以内、FRP製帽体は購入後1年以内という試用期間を設けています。

作業において必ず損傷は出来るので、同工業会の基準を目安にしながら、事業者も、安全性の高い保護帽がきちんと使われているか、日頃から機能の点検をしておくことをお勧めします。

安全帯の使用前点検、実施すべき法的根拠はあるか

安衛則第521条第1項、同条第2項により、安全帯の点検は、『安全帯等を使用させるときに、随時』行うべきとされています。安全帯の点検については、メーカーなどが添付している取扱説明書などに点検・破棄の基準が記載されているものがあるので参考にしてください。具体的な点検項目として、
①フック
・亀裂が生じているもの
・フックの内側に1mm以上の傷があるもの
・さび(腐食)が著しいもの、又は変形しているもの
②バックル
・亀裂が生じているもの
・ベルトの噛み合わせ部が著しく磨耗しているもの
・全体にさび(腐食)が発生しているもの、又は変形しているもの
③D環
・亀裂が生じているもの
・深さ1mm以上の傷があるもの
・変形の大きいもの
④胴ベルト
・磨耗、すり切れの激しいもの
・ベルトの耳などに3m以上の損傷のあるもの
などの項目に当てはまった場合、新品と交換する必要があります。

さらにロープの状態についても『キンクや形くずれの著しいもの』『溶融、変色の著しいもの』などは、衝撃により切断する恐れがありますので、早急に新しいものに取り替えるべきです。

また、月に1回程度、それぞれの点検項目に基づいた入念な点検を実施し、必要に応じて廃棄などの措置を講じる。

埋設物付近での掘削作業についての対策

掘削作業中に塀などの崩壊、あるいは埋設されているガス管などの損壊といった事故につながる可能性があるため、事前の安全対策が欠かせません。

安衛則第362条第1項、同条第2項、同条第3項で、ブロック塀やガス導管に近接した箇所で掘削作業を行う際には、あらかじめブロック塀やガス導管などの移設をする等危険を防止する措置を講じるなどの作業計画を作成し、対策を立てることが不可欠である。

架空電線付近での解体工事、感電防止対策のポイントは

安衛則第349条により、次の各号のいずれかに該当する措置を講じなければなりません。
①当該充電電路の移設
②感電防止のための囲いの設置
③当該充電電路への絶縁用防護具の装着
④(①~③の措置が困難な場合)監視人を置き、作業を監視させる

なお、『絶縁用防護具』とは、線カバーのほか、がいしカバー、シート状カバーなどがあり、事前に電力会社に連絡して設置する必要があります。

このほか、工事開始前の実施事項から実作業までの感電防止のポイントについて、通達(昭50・12・17 基発第759号:『移動式クレーン等の送配電線類への接触による感電災害の防止対策について』)では、
①送電線類との安全な離隔距離の確保(電路の電圧に応じた離隔距離の確保)
②監視責任者の配置(移動式クレーンなどを使用する作業において的確な作業指揮をとることができる監視責任者の配置)
③作業計画の事前打ち合わせ(電力会社などとの防護措置や作業方法の打ち合わせ)
④関係作業者に対する作業標準の周知徹底(関係作業者に対し、感電の危険性を十分周知させるとともに、その作業準備を定め、これにより作業が行われるよう必要な指導を行う)感電災害防止対策の柱である防護管の設置、作業計画・標準の作成、周知などを柱に、ソフト・ハードの両面から対応すべきです。

移動はしごを使用したいがどんな対策が必要か

安衛則第526条では、高さ、又は深さが1.5mを越える箇所での作業を行う場合、安全に昇降する設備を設けなければならないと定めています。

また、移動はしごに関しては、同則第527条で、次の要件に適合したものでなければならないとしています。
①丈夫な構造とすること
②材料は著しい損傷、腐食等がないもの
③幅は30センチメートル以上とすること
④すべり止め装置の取り付けその他転位を防止するために必要な措置を講じること

特に、左右に動きにくくするなど事前の安全対策として『すべり止め』と『転位』の防止に努める必要があります。

また通達(昭43・6・14 安発第100号)で「はしごの上方を建築物等に取り付けること、他の労働者がはしごの下方を支えること等の措置が含まれること』とされています。

安全靴の着用はどのような場合か

安全靴について安衛則第558条で定められています。しかし、どのような作業状態で安全靴を使用すればよいかの定めはありません。

事業者が作業の状況を考慮して、安全靴の着用を判断すべきです。要は、安全靴を履いていれば防げた災害をなくすことです。

重量物の運搬作業の災害防止のポイントは

腰痛予防対策は通達(平・9・6 基発第547号)が出ていますので、そこからいくつかポイントを挙げてみます。
①自動化、省力化
・適切な自動装置、台車の使用等により人力の負担を軽減することを原則とする。
②荷姿の改善、重量の明示等・荷物は、かさばらないようにし、かつ適切な材料で、できるだけ確実に把握することができる手段を講じて、取り扱いを容易にする。
・できるだけ取り扱うものの重量を明示する。
③作業姿勢、動作
・床面等から荷物を持ち上げるときは片足を少し前に出し、膝を曲げ、腰を十分に降ろして当該荷物をかかえて、膝を伸ばすことによって立ち上がる。
・できるだけ身体を対象物に近づけ、重心を低くするような姿勢をとる。
・腰をかがめて行う作業を排除するため、適切な高さの作業台を利用する。
・荷物を持った場合は、背を伸ばした状態で腰部のひねりが少なくなるようにする。
④取扱時間
・取り扱う物の重量、取り扱う頻度、運搬距離、運搬速度等作業の実態に応じ、小休止・休息をとる。他の軽作業と組み合わせる等により、重量物取扱時間を軽減する。

次に『重量物の取り扱い重量』については、
☆満18歳以上の男子労働者が人力のみにより取り扱う重量は55kg以下にする。また、当該男子労働者が、常時、人力のみにより取 り扱う場合の重量は、当該労働者の体重の概ね40%以下となるように努める。
☆上記の重量を超える重量物を取り扱わせる場合は、2人以上で行わせるように努め、この場合、それぞれの労働者に重量が均一にか かるようにする。

以上のように、できるだけ重量物運搬作業を機械設備などによりなくしていき、それが困難な場合は取り扱う重量物の重量が前述の目安を越えないようにする。その上で、正しい荷の持ち上げ方を徹底する事が必要である。

作業帽や作業服の着用に法的定めがあるか

安衛則第110条で『労働者の頭髪又は被服が機械に巻き込まれるおそれのあるときは、労働者に適当な作業帽又は作業服を着用させなければならない』と定めた条文が法的根拠になります。

一般的に作業服の着用目的を『汚れてもいいため』と認識している方も多い。しかし、作業帽や作業服の着用の法的な目的は『危険防止』となる。

さらに、だらしない服装は、災害に巻き込まれるだけでなく、職場全体における作業者の安全に対する意識も希薄なものになってしまう恐れがある。整理整頓が徹底されていない職場で災害が発生するのと同じ意味合いを持つため、常日頃から作業者の服装の乱れに気を配る必要があります。

高年齢者の労働安全衛生対策は、

たとえば、腰痛防止対策としては、
①運搬作業を自動化あるいは複数の作業員による作業とする
②前屈などの姿勢が長時間続かないよう、作業位置などを改善する
③レイアウトを改善し、運搬距離を短縮する

その他、はしごや脚立を使った昇降を伴う作業や滑りやすい床面での作業などはできるだけ避けるようにし、また、床面の凸凹をなくす(バリアフリー化)。視聴覚面では、標識や作業マュアル(高齢者向けの作業マュアル)などの文字を大きくする、あるいは全体照明・局所照明を明るくするなどの措置などにより、心身の機能の低下をフォローする対策が重要である。

「かかり木処理」作業において具体的に講ずるべき安全対策は

安衛則第36条第8号及び8号の2の規定により、「かかっている木の胸高直径が20cm以上であるものの処理の業務」及び「チェンソーを用いておこなうかかり木の処理の業務」などに従事する労働者に対し、特別教育を実施することとしています。

平成14年に策定された「かかり木の処理作業における労働災害防止のためのガイドライン」のポイントとして、
①事前調査の際に、かかり木に係る事項についても実地調査を行い、その結果に基づき、携行が必要な機械器具等を決定するなど、必要な準備をおこなうこと
②適切な機械器具等の使用、労働者の確実な退避等安全な作業方法を決定すること
③かかり木を一時的に放置せざるを得ない場合には、講ずべき措置を徹底すること

ちなみに、①の「事前調査」では、伐木作業を行おうとする林分について、事前調査を行う際に、立木の径級、林分の密度、伐倒方向、枝がらみなどの状況を実地に調査する。また②の「安全な作業方法」とは、退避場所の選定、かかり木の速やかな処理、適切な機械器具などの使用について求めたものです。

また、同ガイドラインでは、禁止事項として、立木の投げ倒しや肩担ぎ等を、またかかり木を一時的に放置する場合の、標識の掲示などの措置の実施を求めています。

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