有機則第5条で、屋内作業上で有機溶剤業務を行うときは、蒸気の発散減を密封する設備や局所排気装置などを設けなければなりません。
しかし、有機則第8条では、「臨時に有機溶剤業務を行う場合の適用除外等」を定めており、「臨時に有機溶剤業務を行う事業者が屋内作業場等のうちタンク等の内部以外の場所における当該有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、第5条の規定は、適用しない」となっています。
条文中に出てきた「臨時に有機溶剤業務を行う」については、通達(昭53・12・25 基発第707号)で、「当該事業場において通常行っている本来の業務以外のほかに、一時的必要に応じて本来の業務以外の有機溶剤業務を行うことをいう。したがって、一般的には、当該有機溶剤業務に要する時間は短時間であるといえるが、必ずしもそのような場合に限る趣旨ではないこと。例えば、有機溶剤等を用いて作業場の労働者が行う場合は、一般的には「臨時に有機溶剤業務を行う」場合に該当する」としています。
つまり、屋内作業場のタンク内部以外の場所で、「臨時」に行われる作業についてはこれらの措置を講じる必要がないということになります。
ですから、工場内の通路をペンキで引く場合は「臨時に行われる作業」と考えられますので、法的には特段の措置は必要ありません。
しかし、窓を開けて作業をするなど換気には十分注意し、換気の悪い場所での作業が長時間に及ばないように注意する必要がある。