有機溶剤業務での色分け区分とは

有機溶剤中毒予防規則第25条第1項では、「作業中の労働者が有機溶剤等の区分を容易に知ることができるよう、色分け及び色分け以外の方法により、見やすい場所に表示しなければならない」と定めています。

そして、どのような色に分けられるかは、同条第2項で、
1 第1種有機溶剤等・・・赤
2 第2種有機溶剤等・・・黄
3 第3種有機溶剤等・・・青
また、通達(昭35・10・31 基発第929号)では、「本条の規定は、労働者に対して、その現に取り扱っている有機溶剤等の区分を知らしめることを目的とするものであるから、同一作業場において二以上の有機溶剤業務を行い、区分の異なる有機溶剤等を取り扱っている場合は、それらの区分を一括表示することなく、それぞれの業務に従事する労働者が自らの取り扱っている有機溶剤等の区分を知るように表示すべきである」としていますので注意ください。

次に表示方法については、同通達で「所定の色を持って着色されたものであれば、旗、板、紙等のいずれによるかを問わないが、労働者が容易に識別しうる程度の鮮明さ及び大きさをもつものでなければならない」とされています。

また、通達(昭53・8・31 基発第479号)では、「有機溶剤等の区分の表示は、当該区分に応じた色の他に、当該区分を文字で記載することが望ましい」とされています。

最後に、「色分け以外の方法」については、通達(平13・7・16 基発第634号)では、「色分け以外の方法とは、当該区分を見やすい文字で記載する等の方法をいう」としています。

異なる工場間で有機溶剤作業主任者の兼務は可能か

通達(昭53・8・31 基発第479号)によると、
1 有機溶剤作業主任者は、安衛法第14条の規定に基づき、作業区分に応じて選任が必要であるが、具体的には、各作業場ごと (必ずしも単 位作業室ごとに選任を要するものではなく、有機則第19条の2「有機溶剤作業主任者の職務」の遂行が可能な  範囲ごと)に選任することが 必要であること。
2 「選任」に当たっては、その者が有機則第19条の2に掲げる事項を常時遂行する事ができる立場にある者を選任することが必  要である。

有機則第19条の2の職務とは、
1 作業に従事する労働者が有機溶剤により汚染され、またはこれを吸入しないように、作業方法を決定し、労働者を指揮するこ  と
2 局所排気装置、プッシュプル型換気装置または全体換気装置を1月を超えない期間ごとに点検すること
3 保護具の使用状況を監視すること
などが定められています。

実際には、作業場(工場)が異なっても、工場間の行き来があり、作業主任者の職務が適切に遂行できる作業範囲ならば、有機溶剤作業主任者が2つの工場を兼務する事も可能でしょう。

工場内の通路をペンキで引く場合に有機溶剤対策を講じる必要があるのか

有機則第5条で、屋内作業上で有機溶剤業務を行うときは、蒸気の発散減を密封する設備や局所排気装置などを設けなければなりません。

しかし、有機則第8条では、「臨時に有機溶剤業務を行う場合の適用除外等」を定めており、「臨時に有機溶剤業務を行う事業者が屋内作業場等のうちタンク等の内部以外の場所における当該有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、第5条の規定は、適用しない」となっています。

条文中に出てきた「臨時に有機溶剤業務を行う」については、通達(昭53・12・25 基発第707号)で、「当該事業場において通常行っている本来の業務以外のほかに、一時的必要に応じて本来の業務以外の有機溶剤業務を行うことをいう。したがって、一般的には、当該有機溶剤業務に要する時間は短時間であるといえるが、必ずしもそのような場合に限る趣旨ではないこと。例えば、有機溶剤等を用いて作業場の労働者が行う場合は、一般的には「臨時に有機溶剤業務を行う」場合に該当する」としています。

つまり、屋内作業場のタンク内部以外の場所で、「臨時」に行われる作業についてはこれらの措置を講じる必要がないということになります。

ですから、工場内の通路をペンキで引く場合は「臨時に行われる作業」と考えられますので、法的には特段の措置は必要ありません。

しかし、窓を開けて作業をするなど換気には十分注意し、換気の悪い場所での作業が長時間に及ばないように注意する必要がある。

よくある質問一覧 へ戻る