給付基礎日額により労災保険の補償内容が変わります
一人親方の皆様が労災保険から補償を受けるには「賃金」という概念が必要になります。
一人親方の皆様は従業員でないため賃金という概念がないため「給付基礎日額」を賃金とみなします。
たとえば、一人親方で年収365万円の人は365万円を12か月で割ると1日10,000円となります。
この10,000円を給付基礎日額(賃金)とする。
一般的には、このように考えます。
実際には、民間保険加入を踏まえ、給付基礎日額3,500円から25,000円(16段階)から選択していただきます。
一人親方の給付基礎日額は、昭和58年3月24日付け基発第150号(平成23年3月25日改正)等に基づき決定しているところですが、近時、同種の労働者の平均的な所得水準から判断して高額な給付基礎日額を希望する事案等制度の適正運用上望ましくない事案が生じているため、給付基礎日額18,000円以上を申請する一人親方(建設の事業)に対して本人の所得水準を証明することができる資料として、
・確定申告書
・所得(課税)証明書
・前1年間の工事請負書等の工事関係資料等
の提出をお願いいたします。
所得額(売上-経費)≧ 保険料算定基礎額 を確認いたします。
給付基礎日額の変更は毎年4月からです。
さて、労災保険の補償額の計算には「給付基礎日額」を用います。
給付基礎日額は「補償内容」と連動します。
給付基礎日額が低ければ労災保険から受給できる補償も少なく、逆に、給付基礎日額が高ければ受給できる補償も多くなります。
病院及び薬局での必要な治療費は無料です。
この治療費は給付基礎日額によって違いはありません。
しかし、休業、障害、死亡等の場合には給付基礎日額の高低により労災保険からの補償内容に違いがあります。
なお、休業補償は「全部労務不能」が条件です。
全部労働不能とは、入院中または自宅就床加療中もしくは通院加療中であって、補償の対象とされている範囲(業務遂行が認められる範囲)の業務または作業ができない状態をいう。
もし、一部でも労働できる状態ですと休業補償が受給できません。
ご注意ください。
現在加入している民間保険の内容を加味して適正な給付基礎日額を選択していただくことが肝要です。
参照
業務災害で休業 給付基礎日額3,500円加入 30日間休業した場合
3,500×80%×30日=84,000円
業務災害で休業 給付基礎日額10,000円加入 30日間休業した場合
10,000×80%×30日=240,000円
この場合の差は、30日で156,000円です。
参考
(給付基礎日額・保険料)