どのような場合に職長教育が必要になるか

安衛法第60条では「事業者は、その事業場の業種が政令で定めるものに該当するときは、新たに職務につくことになった職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く)に対し、次の事項について、厚生労働省令で定めるところにより、安全又は衛生のための教育を行わなければならない」と定めています。

そして、「職長等の教育を行うべき業種」については、労働安全衛生法施行令第19条で、
① 建設業
② 製造業(イからホに掲げるものを除く)
イ 食料品・たばこ製造業(化学調味料製造業及び動植物油脂製造業を除く)
ロ 繊維工業(紡績業及び染色整理業を除く)
ハ 衣服その他繊維製品製造業
ニ 紙加工品製造業(セロファン製造業を除く)
ホ 新聞業、出版業、製本業及び印刷物加工業
③ 電気業
④ ガス業
⑤ 自動車整備業
⑥ 機械修理業
と定めていますので、これらの業種に該当する場合には職長教育が必要となります。
また、条文中に出てきた教育を行わなければならない「次の事項」については、
① 作業方法の決定及び労働者の配置に関すること
② 労働者に対する指導又は監督の方法に関すること
③ ①②に掲げる物のほか、労働災害を防止するため必要な事項で、厚生労働省令で定めるものを挙げています。

③の厚生労働省令で定めるものとは、安衛則第40条第1項で、
(1)作業設備及び作業場所の保守管理に関すること
(2)異常時等における措置に関すること
(3)その他現場監督者として行うべき労働災害防止活動に関すること
と定められています。

雇入れ時教育後、定期的な再教育は必要か

安衛則第35条では、雇入れ時と作業内容変更時における安全衛生教育を行わなければならない。

なお、雇い入れ時教育を実施した後、安全衛生教育をしなければならないという規定は、作業内容変更時以外にありません。

しかし、危険有害業務など特定有害業務など特定の職務に就いてから定期的に再教育を行うよう通達「安全衛生教育の推進について」(平3・1・12 基発第39条)が出されています。主なものとして、
①就業制限業務に従事しているもの
②特別教育を必要とする危険有害業務に従事する者
③安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者及び衛生推進者
④作業主任者、職長及び作業指揮者
などが挙げられます。

期間としては『おおむね5年ごとに』、機械設備等に大幅な変更があった場合には『随時』に教育を行うこととされています。

教育内容には、作業者に対しては『当該業務に関連する労働災害の動向、技術革新の進展等に対応した事項」、管理監督者に対しては『当該業務に関連する労働災害の動向、技術革新等の社会経済情勢、事業場における職場環境の変化に対応した事項』を加えるように求めています。

雇入れ時教育での具体的教育内容はどのようのものですか

安衛則第35条1項によると
①機械等、原材料等の危険性または有害性及びこれらの取り扱い方法に関すること
②安全装置、有害物抑制装置または保護具の性能及びこれらの取り扱い方法に関すること
③作業手順に関すること
④作業開始時の点検に関すること
⑤当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること
⑥整理、整頓及び清潔の保持に関すること
⑦事故時における応急措置及び退避に関すること
⑧前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全または衛生のために必要な事項

安衛則第35条2項によると前項各号に掲げる事項の全部または一部に関し十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該事項の教育を省略できる。

また、労働者の作業内容を変更した場合にも雇入れ時と同様に教育が必要になりますので注意してください。

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